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統合キャラクター

これは強力なキャンペーン向けの選択ルールで、キャラクターは基本的にすべてのレベルでふたつのクラスを取得し、それぞれの良いほうを選択する。この工程はマルチクラスに似ているが、キャラクターはどのレベルででも両方のクラスの利点すべてを得る。もし君が選択したふたつのクラスに重複する部分(たとえばヒット・ダイス、攻撃の成長、セーヴ、そしてクラスの特徴)があれば、君は良いほうを選択する。統合キャラクターは重複しないすべての部分を保持する。

統合キャラクターの選択ルールは君のグループに3人以下のプレイヤーしかいないときや、君のプレイヤーがマルチクラスを楽しんで本当に壊れた力をキャラクターに与えたいとき特に効果的である。

統合キャラクターの作成

1レベルの統合キャラクターを作成するには、通常のクラスをふたつ選択する。(君はあらゆる選択クラスを使用できるが、同じクラスの別ヴァージョン同士を合わせることはできない。)以下の手順に従って君のキャラクターを作成する。

ヒット・ダイス

より大きなヒット・ダイスを選ぶ。たとえば、モンク/ソーサラーはd8が彼女のヒット・ダイスであり8ヒット・ポイント(と【耐久力】修正値を加算した)を1レベルの時点で持つ。

基本攻撃ボーナス

ふたつのクラスからより良い基本攻撃ボーナスを選ぶ。

基本セーヴィング・スロー・ボーナス

すべてのセーヴ・ボーナスについて、ふたつのクラスからより良いものを選ぶ。たとえば、1レベルの統合ウィザード/ファイターは頑健+2、反応+0、意志+2――ファイター・クラスの良好な頑健セーヴとウィザード・クラスの良好な意志セーヴ――の基本セーヴィング・スロー・ボーナスを持つ。

クラス技能

多くもらえるクラスの分だけ技能ポイントを得て、両方のクラスのクラス技能を統合キャラクターのクラス技能にする。たとえば、統合バード/バーバリアンはレベルごとに6+【知力】修正値の技能ポイント(1レベルでは4倍)を得て、バードとバーバリアン両方のクラス技能として取得できる。

クラス能力

統合キャラクターは両方のクラス能力を得る。たとえば、1レベルの統合クレリック/ローグの場合、1レベルのクレリック呪文、アンデッド退散または威伏、急所攻撃+1d6、そして罠探しを得る。クラスと能力に基づく制約(たとえば秘術呪文失敗確率やドルイドの金属鎧を着用できない制限)は統合キャラクターが他にどのクラスを取得していても、通常と同じように運用する。

統合キャラクターが2レベル以降に成長した場合も同じような方法を用いる。彼が新しいレベルを取得するたびに、彼はクラスふたつを選び、両方の良い方を取り、それを彼のキャラクターに適用する。ただし、いくつかの注意がある。

統合の組み合わせ

統合キャラクターのプレイヤーはすべてのレベルでふたつのクラスを選んぶため、統合キャラクターが持つ可能性はほぼ無限にある。以下の組み合わせは特に強力なものである。

ウィザード/ソーサラー

多くの統合キャラクターと違い、君のヒット・ポイント、アーマー・クラス、基本攻撃ボーナス、そしてセーヴィング・スローは標準のウィザードやソーサラーより少しも良くならない。しかしそう、君は呪文を唱えることができる! 多くの標準的な秘術呪文使いとは違い、君は重要な戦いで最も高いレベルの呪文に余裕を持つことができる。君のソーサラー用スロットを戦闘用呪文(ありがちな例はファイアーボール)と臨時用の防御や便利な呪文(多分メイジ・アーマーやヘイスト)にすることは良い考えである。そして君はウィザードの呪文スロットを特定の敵に有効な呪文(たとえばディスミサル)や特殊な状況で命を救うもの(ガセアス・フォーム)にする。君はソーサラーの呪文という保険があるためにウィザードの呪文選択でもう少し賭けに出ることができる。

ウィザード/バーバリアン

バーバリアンはd12のヒット・ダイスを持っており、それはウィザードが持つ打たれ弱いという問題に合う。良好な頑健セーヴは何度も統合キャラクターの命を救い、高い【知力】でキャラクターはふたつ分のクラス技能から大いに恩恵を受ける。さらに、君は1レベルから読み書きができるという利点がある。唯一の短所? 君が激怒中に呪文を発動できないことくらいである。この組み合わせはあえて両方のクラスにある固定観念をひねったものなので、君はキャラクターの設定について少々考える時間を持ったほうが良い。

ウィザード/モンクやソーサラー/モンク

3つの良好なセーヴ、さらなるヒット・ポイント、そして未装備状態での良いアーマー・クラス、モンクはウィザードやソーサラーの欠点をすっかり補うことができる。唯一の欠点はウィザードとソーサラーの重要な能力値――【知力】と【魅力】――がモンクにはあまりそうでない能力値であるということだ。これは特に君がポイント割り振りによる能力値決定を行なっているのなら、非常に厳しい組み合わせである。

クレリック/ソーサラー

この統合の組み合わせは上級クラスのミスティック・シーアージのように効果的で強力だ。君はソーサラーとして戦闘用の呪文を準備し、さらに多目的であったり防御的な呪文をクレリックとして――君が望むならば任意発動で治癒呪文としても――使用できる。さらに、君の高い【魅力】は君が秘術呪文を発動させるときもアンデッド退散を行なうときにも役立つ。

クレリック/モンク

君は恐らく鎧を装備しないだろうが、君は目にも止まらぬ勢いで戦場を走り回り、仲間を癒して悪人を《朦朧化打撃》とインフリクト・シリアス・ウーンズの組み合わせで叩きのめす。君が新しいキャラクターを成長させるなら、素晴らしいクレリックの呪文から距離が接触のものを探すと良い。また【判断力】は君の呪文発動能力と君のアーマー・クラスを強化する。

ソーサラー/パラディン

この統合の組み合わせでは【魅力】が非常に重要となる。なぜか? 理由はふたつ、信仰の恩寵。すべてのソーサラーは、【魅力】能力値を4レベルごとの上昇でずっと上げてさらに余裕がある限り良いクローク・オヴ・カリスマで高めるからである。君が多くの呪文を得れば、君のセーヴィング・スローも同様に上昇する。欠点? 君は多くのパラディンのような鎧を装備することはできない。

ドルイド/レンジャー

君はレンジャーの基本攻撃ボーナスを得て、自然の化身はより効果的な戦力となる。レンジャーの技能は便利で、君が弓の戦闘スタイルを選んでいるなら、君は遠隔戦を行ないながら近接戦になれば化身で戦える。

バード/バーバリアン

“バーバリアン”は、戦いでパーティを助ける呪文と攻撃や激怒と呪歌を組み合わせ、パーティの強化や彼の攻撃を行なう。呪歌は〈芸能〉判定を要求される(打ち消しの歌やファッシネイトのように)ため激怒中には使用できない。バードもバーバリアンも重装鎧を装備できないので、装備の選択は単純である。

ファイター/レンジャー

君が特技好きなら、このクラスをおすすめする。多くのファイターは近接か遠隔戦闘の両方に特技を割り振るか他を犠牲にして片方の攻撃を強化するかどうか選ばなければならない。ファイター/レンジャーはファイターのボーナス特技で近接攻撃を強化してレンジャーの戦闘スタイル、戦闘スタイル強化、戦闘スタイル体得で3つの弓用特技を取得するというように、それらを両立させることができる。

ファイター/ローグ

すべてのローグは敵の後ろに隠れて急所攻撃を行なうことを好む。この統合の組み合わせでは、君がより高いヒット・ポイントにアーマー・クラスを持って敵と接することが安全になり、君はより命中させられるようになり、より多く攻撃を行なえるようになり、そのためにd6を掴むことがより多くなるため、この戦法はさらに良いものとなる。君は重装鎧を装備することができるが、君は得意な技能が弱体化して身かわしを失ってしまう。

統合キャラクターのバランス

この選択ルールを使用すると、標準のものより明らかに強力なキャラクターになる。ではどれほど強くなるのか? 答えは単純――統合キャラクターは標準キャラクターの2倍強い――これは違う。統合キャラクターはゲームで最も重要とされるもの、アクション数を持たない。バーバリアンのように戦えてソーサラーのように呪文を発動できるキャラクターでさえ同じラウンドにどちらも行なうことはできない。統合キャラクターは別々のキャラクターがそうであるようにふたつの場所で同時に存在していることはできない。パーティの役割ふたつ(たとえば、近接戦闘と呪文使い)を行なおうとする統合キャラクターは彼らが特技の選択、能力値の成長、そして装備の選択をふたつの役割で分割しなければならないと気づく。

統合キャラクターは同レベルのキャラクターふたりほど強くなく、統合キャラクターは標準キャラクターより強い。ヒット・ポイントは少なくとも標準キャラクター並で、セーヴィング・スローはほとんどの場合良く、そして統合キャラクターは標準キャラクターのようにマルチクラスを行なうことなく柔軟性を手に入れられる。さらに、統合キャラクターのパーティは大いなる耐久度とより多くの1日あたりで使用できる呪文を持ち、彼らはしばしば6回を超える遭遇を休息や呪文の再準備を行なうことなく完遂することができる。

君のキャラクターは強力な急所攻撃ができるファイターやあらゆる呪文を使える呪文使いに興奮しているかもしれない。しかし、ゲームマスターである君はPCの力というものはNPCの力との対比を行なうことが重要だと知っている。より高い脅威度のモンスターを彼らにぶつけ、君は彼らに歯ごたえのある遭遇を与えるのである。統合キャラクターは標準キャラクターに比べて優れているように見えるが、それは比較対象が間違っている。この選択ルールを使用した場合、“標準”キャラクターは存在しない。

ここでは統合キャラクターによるキャンペーンの構築と管理について示す。

脅威度

統合キャラクターは標準キャラクターより明らかに多くの敵をさばくことができる。これに対する最も単純な方法はシナリオでより強いモンスターを使うことである。一般的に、4人の統合キャラクターは彼らの平均レベル+1の脅威度に等しい単体のモンスターとの遭遇を複数回こなすことができる。モンスターの脅威がセーヴィング・スローの結果で致命的な結果を起こす(たとえばメドゥサやワイヴァーン)ものなら、貧弱なセーヴを持たないほとんどの統合キャラクターにとってより弱いものとなる。キャラクターは彼らの平均レベル+2に等しい脅威殿そのようなモンスターとの遭遇を複数回こなすことができる。シャンブリング・マウンド(脅威度6)やメドゥサ(脅威度7)は5レベルキャラクター4人の標準的な遭遇として適切である。君がこの方法を使うなら、それらの遭遇が実はより困難なもののためより多くの経験点を得て、キャラクターが普通のキャンペーンより速くレベルを上昇させることを理解すること。君が力強いゲームの進行、より速い成長と追加される利益に問題がないとしよう。君が出版されている冒険シナリオを使うなら、これは最も簡単な方法である。

君がレベルの上昇を標準的なレベルあたり13の遭遇に保ちたいなら、君のキャンペーンにおけるすべてのモンスターとNPCの脅威度を1(PCがセーヴィング・スローに失敗することで困難になるものなら2)下げるべきである。シャンブリング・マウンドとメドゥサは脅威度5のモンスターとなり、統合キャラクターは普通の速さでレベルを上昇させる。脅威度1のモンスターは1/2となり、他の小さな脅威度しか持たないモンスターは彼らの脅威度を半減させる(例をあげると、コボルドは脅威度1/6となる)。多くの低い脅威度のモンスターは、1統合レベルだとしても統合キャラクターのパーティの障害として機能しない。

シナリオの設計

脅威度の調整を行ったなら、君は統合キャラクター用のシナリオというもうひとつ慎重に考えるべき要素がある。君が冒険を準備しまた冒険をゲームのテーブル上で運営しているときに君は統合キャラクターの高い“冒険での持久力”を考慮する必要がある。統合キャラクターは標準キャラクターより多くのヒット・ポイント、良いセーヴィング・スロー、そして多くの呪文リストを持ち、彼らはヒット・ポイントと呪文が減る前に多くの遭遇を危なげなく処理することができる。

たとえば、統合キャラクターは最初の道行きでダンジョンをより深く探索することができ、そのときダンジョンの住人は彼らの襲来を予測していないかもしれない。拠点型のシナリオでどこかを守っている者も統合キャラクターのパーティを疲弊させるために頼れない。彼らは統合キャラクターにウィザードの呪文が無くなったからではなく、隠れ場所の心配をさせて撤退させるに足りる強さを持たなければならない。

事件型のシナリオでは、統合キャラクターはより多くの資源を持つために予定表を彼らの自由に荒らしまわることができる。たとえば10レベル統合ウィザード/ソーサラーはパーティ全員を1日4回――巻物無しに――テレポートさせることができる。それは、瞬く間にルーン文字解読専門家のしわくちゃな賢者を訪ねて戻ることができるということである。

ゲームのテーブルで、君はキャラクターの休息がプレイヤーの休息になるため、統合キャラクターの休息を短くしてセッションのために長い時間を取りたいかもしれない。もし君が何か行なっている途中で中断するなら、君のプレイヤーに彼らが使用したクラス能力、現在発動している呪文、そしてその他の関連情報についてメモをとらせたほうが良い。統合キャラクターの管理を記憶だけで済ませようとするのは絡みあう面倒の素である。

NPC

多くのキャンペーンで重要な面として――現実臭さ――そしてそれはキャンペーン世界が同じ法則に従っているということに最も注目される。つまり、君のゲームに登場する重要なNPCは統合キャラクターでなければならない。恐らく低レベルの戦闘に関わらないNPCにふたつのクラスを選ばせる必要はないだろうが、1レベルを上回るNPCは誰でも統合キャラクターとして作成されなければならない。(NPCクラス――アデプト、アリストクラート、ウォーリア、エキスパート、そしてコモナー――のレベルしか持たないキャラクターは標準キャラクターである。)

上級クラス

統合キャラクターの選択ルールは強力であり君により多くの独自な上級クラスを作成させる余地を与える。まず、君はPCが上級クラスと同時に通常のクラスも成長させるからこそ選べるような、大変専門化された上級クラスを作ることができる。プレイヤーは他のクラスを選べるならあまり特定の上級クラスに押し込まれているとは感じず、君は本当に酷い上級クラス――ただしそのようなクラスは統合キャラクターが取得するためにより多くを要求する――を作成できる。たとえば、d12のヒット・ダイス、レベルごとに+1される基本攻撃ボーナス、ふたつの良好なセーヴ、すべての呪文発動能力、そして多数のクラス能力を持つ上級クラスは通常のゲームでは完全に均衡を破壊する。しかしそれが統合キャラクターの“クラス・スロット”に取得されるなら、ウィザード/バーバリアンの統合と同じようにそこまで強力ではない。

キャンペーンの運営

これまで解説したように、一度調整されれば統合キャラクターによるキャンペーンは通常のキャンペーンとそう変わらない。統合キャラクターは標準的なもののそれより早くキャンペーンを変える鍵となる能力を手に入れることはない。統合キャラクターがテレポートやレイズ・デッドを彼女がレベル9以前に使えるようにならず、モンクでない統合キャラクターはラウンド中2回目の近接攻撃を6レベル以前で手に入れない。統合キャラクターは2レベルほど早くモンスターと戦うが、彼らは低レベルのうちはノール、中レベルでラクシャーサ、そして高レベルでバロールと戦う。おそらくキャンペーンを運営するにあたり唯一目立って違う点は統合PCが最初から“特別な何か”であることだ。彼らはキャンペーン開始時から典型的な1レベルのコモナーよりはるかに強力である。もういちど、3レベルの標準キャラクターは1レベルのコモナーよりはるかに強力であるため、この違いはレベル1から2程度だけなのである。

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