これはD&Dウェブサイトの『You Craft the Creature』特集に基づくものである。
このクリーチャーはきしる歯車ときらめく紡錘体からなる体を持つが、それらが回転して周囲の木を掴むとそれらは……不自然になる。それらは肉のように波うち、煙のようにお互いを透過する。そしてそのただ中にひとつのぎらぎらした眼球がある。
ハヴォック・オーブは多元宇宙から命をも含む全ての混沌を排除することに多大なる努力を払い悪のフェイ・クリーチャーを従者として引き連れ、遥かな次元から訪れた生きた機械である。彼らは従者であるフェイ・クリーチャーにすら不愉快に感じているが、彼らを一番最後に滅ぼす計画であるために他の混沌すべてが除かれるまで彼らはその存在に苦しむことになる。
ハヴォック・オーブは注意を引き寄せるために堂々と直接攻撃を行ない、強力な防御能力で多くの攻撃から身を守る。これは部下を自由に動かして敵を悩ますためである。彼らはまずグッド・ホープの能力を使い、通常は怪光線だが時おりファンタズマル・キラーを使いながら、直接攻撃を最も有力な敵クリーチャーに行なう。彼らは高速化したグレーター・ディスペル・マジックの能力を2ラウンド目以降に敵の中でも呪文を持っていそうな者に使用する。戦士系に対して彼らは毎ラウンド《捕らえがたき標的》の特技を使って《強打》を無効化するとともに、その防御能力で部下が敵を攻撃することに専念させる。擬似呪文を使った数ラウンド後、彼らは最大化や威力強化された怪光線を戦士系とぶつかる前に敵の回復役と術者を無力化するために使用する。
このクリーチャーは統率力値(25)によって、悪のグリッグのローグ、jaebrin(『Monster Manual V』)、および悪のヒブシルス(『フェイルーンのモンスター』)135体、domovoi(『Frostburn』)13体、shader-kai(『Fiend Folio』)7体、shaedling(『Monster Manual V』)4体、spriggan(『Fiend Folio』)2体、および6HDのレッドキャップ(『モンスター・マニュアルIII』)2体からの自由になる(そしてたいてい近くにいる)一団を部下として従えている。彼らの腹心はたとえばモンクかローグのレベルを数レベル持つbanshrae(『Monster Manual V』)やレンジャー5レベルを持つ12HDのレッドキャップの長老(『モンスター・マニュアルIII』)のように、強い戦力となるフェイである。これらのいずれもハヴォック・オーブの脅威度を増加させることはない。
ハヴォック・オーブと彼の従者は土地から土地の森を旅しているので、固定された根城を持たない。このため、彼らは移動しながら破壊を撒き散らすモンスターとして利用できる。時々新しいフェイがこのクリーチャーに短い間合流するため、通常見つかる従者より強力なフェイを遭遇させることもできる。
蹂躙されるフェイの森(脅威度16):ハヴォック・オーブとその従者はドライアド、グリッグ、ヒブシルス、ニンフ、およびサテュロスのように、善なるフェイが遊ぶ森を踏み荒らしている。現在、善のフェイたちの命は風前のともしび。PCこそ彼ら最後の希望なのである。
月の狂気(脅威度17):通常の従者に代わり、ハヴォック・オーブはlunar ravagers(『Monster Manual IV』)12体を使って森の端にある人間の入植地を破壊しようとしている。PCたちは別の冒険に行く途中にそこで泊まっているのだろう。
さまよえる激怒(脅威度18):レイジウォーカー(『モンスター・マニュアルIII』)2体がハヴォック・オーブと合流してその先触れを勤めている。レイジウォーカーが先陣を切り、それに従者の強い者から順に続き、ハヴォック・オーブが怪光線をその敵に発射する時間を稼ぐ。
〈知識:ダンジョン探検〉のランクを持つキャラクターはハヴォック・オーブのより詳しいことを知ることができる。キャラクターが技能判定に成功したなら、以下の情報を思い出す(より低い難易度を含む)。
難易度 | 結果 |
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26 | このクリーチャーはハヴォック・オーブである。彼らは全ての命を嫌う彼方の次元からやって来た奇怪なクリーチャーである。彼らは強力な防御能力に頼って悪のフェイたちの軍団を率いる。異形の種別特徴を全て明らかにする。 |
31 | ハヴォック・オーブはさまざまな擬似呪文能力を高速化、威力強化、また最大化することができる。 |
36 | ハヴォック・オーブはダメージ減少、呪文抵抗、および新しい攻撃からの影響を受けない特殊能力を持ち、ほとんどの攻撃を防ぐ。彼らを対象にした攻撃は奇妙な幾何学法則によって時々彼らの敵に偏向させられる。 |
41 | ハヴォック・オーブは術者が集中しなければ呪文を発動させるさいに未知の方向へとねじまげ、魔法暴発をいざなうことができる。 |
ハヴォック・オーブは生きた機械である。彼らははるかな秩序の次元界にある工房で未知の工程によって製造される。存在の根源となるリンボで採取された混沌という不安定なものを慎重に型にはめ、創造される。ハヴォック・オーブが計測、演算し、内部で類型化しなければならない規律の無い状態に直面したとき狂気に陥るのはこの不安定さゆえである。
出現環境:ハヴォック・オーブは森のように、自然の混沌がより多い場所に引き寄せられる。彼らもまた混沌を自らに引き寄せるため、フェイが彼らに夢中になるのである。このように、彼らは物質界では野外の森や山といった場所を好む。このクリーチャーは本能から水域、湖や海を避けるが、ハヴォック・オーブは簡単に水中で生存するよう適応でき、まれなことだがこのクリーチャーが海中で水棲のフェイを引き連れているのを発見するかもしれない。
典型的な身体的特徴:ハヴォック・オーブは回転する歯車と精密に動く紡錘体からなるクリーチャーである。高さは12フィート、その爪は彼らが他のクリーチャーや物体に接触するとその素材を模倣する。四肢は触れたものに波打って溶けこむように見えるために影響を見てとるのは難しい。このクリーチャーの脚をもしゆっくりと観察できれば、脚同士がもつれ合うことなく、お互いばらばらに完全な動きをしている。脚のつけ根は中心の眼球に繋がっており、その実体が消えることはない。中心の眼球はこのクリーチャーを次元界に繋ぎとめる錨でもあり、錨が無くなればこのクリーチャーは多元宇宙の一部になるために肉体を再構成する。
属性:このクリーチャーは常に秩序にして悪である。彼らは故郷の次元界では秩序にして中立のクリーチャーだが、それは彼らが理解しやすい完全な規律がある場所だからである。彼らがどんなものでも他の法則を体験すると、彼らは狂気に陥り悪となる。これはまったくの自己矛盾に見えるかもしれないが、このクリーチャーは完全に型にはめられた混沌であるため、このように自身が抱える矛盾を共存させることができる。
ハヴォック・オーブは社会を持たない。彼らはそれぞれが自身に仕える悪のフェイを従者にしているが、彼らはどれも独自の方向に狂っているために決して同族と関わらない。その活動範囲にあるフェイたちの社会に対しても同様である。ハヴォック・オーブは従者を戦闘へと導くこと以外にはまったくもって注意を払わない。
ハヴォック・オーブは巣を持たないため、彼らの財宝はすべて持ち歩ける宝石か魔法のアイテムである。財宝はこのクリーチャー自身は魔法のアイテムを気にかけないか使わないため、常にフェイの従者の一員から発見される。このように、従者の中でも強力な者たちは通常遭遇レベル16の標準的な財宝(28000gp)に相当するアイテムを所持している。これらは通常魔法の武器、防御用アイテム、そしてアイウーン・ストーンである。何らかの理由で、アイウーン・ストーンはハヴォック・オーブに引き寄せられる。
ダールヴィの力によって創造されたこのクリーチャーは、完全なる秩序の次元界でも秩序に過ぎる。彼らの力の本質はダル・クォールそのもの、夢の深淵を由来とする。そのため、ある賢者はこのクリーチャーが実はクォーリではないかという説を唱えた。
ハヴォック・オーブはダールヴィがエベロンに隣接したときにエルデン・リーチやカルナスの森林地帯に移動した。彼らの活動は“門を護る者”のドルイドたちを常に悩ませている。
ハヴォック・オーブとフェイの従者たちはチャルトの密林、高森、そしてチョンダル森などフェイルーンでもっとも深い森林に住んでいる。ここ数年、彼らはますます増え、別の個体との衝突で逃げ出したものがより小さな森にまで広がった。
レッド・ウィザードたちは、これらクリーチャーの生態を学び、少数の実験を始めた。彼らからフェイの従者を奪い、少しの攻撃力しかないところを捕獲して閉じこめるのはそれなりに安全である。
これらの特技はコアルールに収録されていない。
《捕らえがたき標的》(『戦士大全』):《捕らえがたき評定》特技は3つの戦闘行動を可能とする。
強打無効化:この行動を行なうために、君は特定の敵を《回避》特技の対象となる敵を指定していなければならない。その敵が君に対して《強打》特技を使った場合、敵はダメージ・ロールにボーナスを得られないが攻撃ロールにおけるペナルティは適用される。
受け流し:この行動を行なうために、君は挟撃された上に挟撃中の攻撃者ひとりが君の《回避》特技で指定されていなければならない。対象の攻撃者が行なうラウンド最初の君への攻撃は自動的に失敗してその代わりに他の挟撃している敵に命中する可能性がある。攻撃したクリーチャーは通常通り攻撃ロールを行ない、その味方は立ちすくみ状態であるとする。対象の攻撃者が君に全力攻撃をしているならば、2回目以降の攻撃は通常通りに機能する。
失敗の始まり:この行動を行なうために、君は敵からの機会攻撃を誘発しながら機会攻撃範囲のマスを移動しなければならない。もし敵の君への攻撃が失敗したら、君はその敵に対してフリー・アクションで足払いを行なうことができ、君の足払いが失敗した場合でも敵は君に足払いを仕掛けることができない。
《擬似呪文能力最大化》(『秘術大全』):君の擬似呪文能力ひとつ(下記の制限を参照すること)は1日3回(能力に回数制限がある場合、それを優先する)まで威力が最大化される。あらゆる数値を求める擬似呪文能力は最大のダメージを算出し、最大のヒット・ポイントを回復し、最大数の対象に影響をおよぼす、というように最大化される。威力強化され最大化された議事呪文能力は両方の特技から別々に利益を得る(最大の結果とさらに通常の1/2をロールして足す)。君が最大化することを選べる擬似呪文能力は能力の元となった呪文が、君の術者レベルの1/2-2以下(端数切り捨て)であるものに限られる。
《超常への変成/Supernatural Transformation》(『Savage Species』):君が持つ擬似呪文能力ひとつは超常能力になる。それはもはや呪文抵抗の影響を受けないが、アンチマジック・フィールド内では抑止される。この能力を使用しても機会攻撃は誘発されない。使用回数、条件の制限については、変更されない。
ロバート・ウィーゼは1978年にボーイ・スカウトのキャンプ旅行から家へ帰る車でゲームが遊ばれているのを見て以来D&Dを遊んでいる。彼は魅了され、この見知らぬ竜と魔法と資料の世界を調べた。数年後、彼はRPGA Networkのトーナメントを編集するために雇われ、1996年の大いなるクリスマス粛清でNetworkを運営する彼の上司が首を切られた後任として昇進した。厳しい時代だったが、彼はRPGAを輝ける新時代へと導いた。そして彼はD&Dを遊ぶのが好きな女性と出会い、レントンを去って暖かくカジノのあるネヴァダ州、リノへと向かった。現在、彼はUNR(訳注:ネバダ大学リノ校)の薬学部で働き、そこでマウスの足筋および高周波障害の影響を調査し、トラッキー・メドウズ・コミュニティ・カレッジで物理学を教えている。彼はできるだけ多くの時間を妻のロンダ、息子のオーウェン、そして娘のレベッカと過ごしている。